【イラスト付き】 心臓 左右の心房を隔てる壁に穴があいた場合の血行動態

平成31年のセンター試験で、左右の心室を隔てる壁(以後:『心室中隔』)に穴が開いた場合の血行動態の問題が出題されました。

(参考:『センター試験 心室中隔にあいた穴』)

生物基礎でこの問題が出るのか!

というのが正直な感想です。

心室中隔に穴が開いた場合の血行動態が出題されたとなれば、

いつか、左右の心房を隔てる壁(以後:『心房中隔』)に穴が開いた場合の血行動態が出題される可能性があります。

(医系大学の入試問題では、すでに何度か出題されていました)

左右の心室を隔てるのが『心室中隔』
左右の心房を隔てるのが『心房中隔』

そこで今回は、心房中隔に穴が開いた場合の血行動態の解説と、キーワードについて紹介します。

また、最後に確認問題もついています。

心房中隔に穴が開いた場合の血行動態

心房中隔に穴が空いた場合の血行動態は、心室中隔に穴が開いた時と同様に、

心臓の部屋同士の内圧差が大切です。

というのも、水が水圧の差で流れるのと同じように、

血液は高圧系の空間から低圧系の空間へ流れるからです。

では、右心房と左心房における圧の差はどうでしょうか?

上記のように、左心房の方が右心房よりも圧が高い空間です

従って、心室中隔に穴が開いていた場合、

血液は左心房(高圧系)から右心房(低圧系)へと流れます。

模式図を書くと下記のようになります。

肺静脈→左心房→右心房→右心室→肺動脈

大切なキーワード

左心房から右心房へ血液が流れる

水が水圧の差で流れるのと同じように、

血液は高圧系の空間から低圧系の空間へ流れます。

左心房の内圧は、右心房よりも高いので左心房から右心房への血流が生まれます。

右心房の血液酸素飽和濃度の上昇

本来、右心房には全身の組織・臓器に酸素を分け与え、酸素飽和度が低い血液が上大静脈・下大静脈からかえってきます。

しかし、右心房と左心房の間の壁に穴が空いていると、

左心房と右心房の圧較差で、左心房から右心房への血流が発生します。

左心房の血液は、肺で酸素化され酸素飽和度が高い血液なので、

それが右心房に流れ込むことで、右心房の酸素飽和度は本来より高くなります。

右心房・右心室に容量負荷がかかる

心房中隔に穴が空いていると、左心房から左心室へ流れるはずだった血液の一部が右心房に流れます。

すると、右心系(右心房と右心室)に流れる血液は、

  • 上大静脈・下大静脈からかえってきた血液
  • 左心房から右心房へ流れ込んだ血液

の2種類で、通常よりも量が増えます。

その為、右心系は通常より頑張って血液を送り出さなければいけません。

これを『容量負荷』といいます。

ただ、このキーワードは難しいので出題されないと思います。

「そんなのあるんだぁ」ぐらいで大丈夫です。

確認問題

さて、ここまで心房中隔に穴があいた場合の血行動態や、

ポイントとなるキーワードについて解説しました。

最後に、1つ確認問題です。

心房中隔に穴が空いた場合、血液酸素飽和度が上昇し始めるのはどれか.(97回医師国家試験・改題)

a 上大静脈
b 下大静脈
c 右心房
d 右心室
e 肺動脈

解答・解説

解答:c

肺で酸素化された血液が右心房へ流入するから。

補足

誰でもお母さんのお腹の中にいる時(胎児期)は、左右の心房を隔てる壁(心房中隔)に穴が開いています。

胎児期に誰もが持っているこの穴を「卵円孔」と言います。

通常は生まれて数時間後に、右心房と左心房の内圧の関係で自然に血液の交通がなくなります。

まとめ

平成31年のセンター試験で、左右の心室の間の壁に穴が空いた場合の血行動態の問題が出題されました。

今回は、左右の心房の間に穴が空いた場合の血行動態について解説しました。

もしこの情報が参考になれば幸いです。

「【イラスト付き】 心臓 左右の心房を隔てる壁に穴があいた場合の血行動態」への2件のフィードバック

  1. 医学部ではないんですが、医学が好きで少し調べたりしてます。
    今回の問題もわかりました。
    そこで質問があるのですが、「酸素飽和度」という言葉がありましたが、サチュレーションと同じ意味ですか?
    加えて、サチュレーションとSpO2は何が違うんですか?

    返信
    • 記事を読んで頂き誠にありがとうございます。

      また、コメントありがとうございます

      「サチュレーション」=「酸素飽和度」です。
      ヘモグロビン全体のうち何割のヘモグロビンが酸素と結合しているかを表しています。

      そして、このサチュレーションを測る方法は色々あります。

      質問して頂いたSpO2はパルスオキシメーターを利用して酸素飽和度を「経皮的」に測るものです。

      他の計測方法としては、血管や心臓の中に機械(カテーテルなど)を入れ計測する方法があります。これにより求まる動脈血の酸素飽和度をSaO2と言います。

      今回の問題では、心臓内での酸素飽和度を見ているので、後者の方法で測定していると思われます。

      余談ですが、SpO2は経皮的に測定するので、マニュキュアのような光を遮るものを付けていると正しく測定されない場合があります。

      長くなってしまいました。

      改めまして、ご視聴並びにコメントありがとうございます。

      返信

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