生物基礎 血液 その② 赤血球・白血球・血小板
Tweetこんにちは!
生物基礎・生物のコーナーです。
血液は、『有形成分(血球)』と『液体成分』に分類できましたね。
今回は、前者の有形成分について説明していきます。
血液の有形成分にかなり詳しく解説していきます。
これから生物基礎で血液範囲を勉強する人に是非みていただきたい内容です!
それでは早速見ていきましょう!
有形成分を構成するもの
血液の有形成分を大きく分類すると、以下の3つに分けることができます。

この3つはそれぞれ、私たちの体の中で色々な仕事をしていますが、共通するポイントは、全て骨髄の造血幹細胞(HSC)から分化した細胞ということです。
造血幹細胞は、その名の通り血球系細胞に分化可能な幹細胞です。
それでは、一つ一つの特徴を見ていきましょう!
赤血球
赤血球は、『酸素の運び屋』で、全身の組織に、肺で取り込んだ酸素(O2)を供給しています。また、全身の組織が代謝をする際に作り出した二酸化炭素(CO2)を回収して肺まで持っていくという役割も担っています。
酸素は、赤血球の細胞質にあるヘモグロビンに結合させて運んでいます。

『酸素の運び屋』という情報以外に、赤血球で覚えておいた方がいいのは以下の通りです。
- 大きさが約7µm
- 中央が凹んだ円盤状の細胞
- 核(—)、細胞小器官(—)
- 寿命120日
『え!?赤血球って核も細胞小器官も持っていないの!?』って思った人いますか?
自分はその事実を知った時衝撃でした!
赤血球が核や細胞小器官を持っていない理由は、赤血球が分化・成熟する過程で核と細胞小器官を失ってしまうからです。
もちろん、普通の細胞がエネルギー産生で使っているミトコンドリアもありません。
では、どうやって赤血球はエネルギー(ATP)を作っているのでしょうか?
それは解糖系です。
解糖系を利用して、嫌気性にATPを産生しています!
あと、上のリストには書きませんでしたが、赤血球には色々な形に臨機応変に変形できる「応形能」があります。ただ、応形能は赤血球が作られてから日数が経つと、徐々に失われます。
すると、脾臓などの網内系で、形を変えてすり抜けることができなくなり、破壊されます。
白血球
自分は高校生の時に、白血球が苦手でした。
『大きさも大雑把だし』、『働きも色々あって覚えるのめんどくさいし』
などなど。結局覚えたのは『免疫系の細胞』と事実だけでした。
ただ大学に入り組織学を勉強すると、自分が高校生の時に『白血球』に苦手意識を持っていた原因がわかりました。
それは、「『白血球』という括りの中に、何種類もの細胞があることを自分が認識していなかった。」ということです。
なので、白血球に苦手意識を持っている人は、一度白血球の細かい分類まで見てみるといいかもしれません。
それでは、白血球を構成する細胞を見ていきましょう。

顆粒球白血球
顆粒球白血球は、その名の通り細胞内に『顆粒』を持っていて、それの有無で無顆粒白血球と区別されます。
顆粒球白血球の中にも色々な種類があり、顆粒が染色液で何色に染まるかで、『好中球』、『好酸球』、『好塩基球』の3つに分類されます。

それでは、『好中球』、『好酸球』、『好塩基球』それぞれの特徴を見ていきましょう。
好中球
好中球は全白血球の6−7割を占めていて、遊走性と貪食能を持つ細胞です。
『貪食能』がいつ役立つかというと、私たちの身体に細菌などの異物が侵入してきた時です。
その時に、好中球は体を張って異物を貪食し、異物とともに死滅します。
よく風邪をひいた時にでる黄色い鼻水は、細菌を道連れにして死んでいった好中球の死骸の塊です。
好中球は短命で、平均寿命は2−3日です。めちゃくちゃ短命です。

好酸球
好酸球も、顆粒球白血球の一つで、その顆粒の中には寄生虫を攻撃する為の抗寄生虫作用を持つ物質やアレルギー反応の際に放出されるヒスタミンを抑える抗ヒスタミン作用を示す物質が入っています。
その為、寄生虫感染症やアレルギー反応でその数は増加します。

好塩基球
好塩基球も顆粒球白血球の一つで、顆粒の中にはヒスタミン、ヘパリン、セロトニンン、へパラン硫酸などが入っています。
好塩基球の細胞表面に IgE に対するレセプターを持ち、脱顆粒を起こしヒスタミンを遊離します。
このヒスタミンは即時型アレルギーに深く関わっています。

無顆粒球白血球
無顆粒白血球は、その名の通り『顆粒』を持っていない白血球で、具体的にはリンパ球や単球がそれに属します。
それでは、リンパ球と単球について具体的に見ていきましょう!

リンパ球
リンパ球はB細胞、T細胞、NK細胞の3つに分類されます。
この3つを顕微鏡で見分けるのは難しく、細胞の表面にある小さな構造物を特殊な機械を使い見分けます。
各リンパ球の働きを詳しく見ていくと、少し大変なので今回は省略します。

単球
単球は、好中球と同様に貪食能を持った細胞ですが、寿命は好中球より遥かに長いです。
好中球が2−3日と蝉より短いのに対し、大体、単球は数ヶ月くらいです。
普段、単球は血流に乗って血管内を流れていますが、炎症が起きると、炎症の場所で血管外に出てマクロファージへと分化します。
単球やマクロファージは、異物を貪食するとその抗原情報をリンパ球に提供するので、『抗原提示細胞』と呼ばれています。
余談ですが、特定の組織に定着しているマクロファージもあります。
肺には肺胞マクロファージ、脾臓には脾マクロファージ、皮膚にはランゲルハンス細胞、肝臓にはクッパー細胞、脳にはミクログリアなどです。
これらを総称して、『単核食細胞系』とよんでいますが、生物基礎・生物では覚える必要はありません。

血小板
血小板は、止血・血液凝固に関わる重要な物質です。
血小板は、骨髄中にある巨核球という細胞の細胞質の破片からできた構造物です。
細胞質の破片なので、血小板は無核です。
血小板内にはたくさんの顆粒があり、その中には止血や血液凝固に関わる重要な物質がたくさん入っています。
血小板が減少したり、機能が低下すると出血した際になかなか止血しなくなってしまいます。
まとめ
いかがでしたか
今回は、血液の有形成分について解説しました。
もう少し詳しく知りたい部分などありましたら、コメントの方で押してください。
それではまた!