生物基礎 内分泌腺とホルモン① 視床下部ホルモンとその作用 まとめ

私たちの体の中には、「ホルモン」という化学物質が数多く存在します。

「ホルモン」と言っても、分泌される臓器、組成、作用など多種多様で、正直苦手としている人が多いのではないでしょうか。

そこで、これから数回に分けて、私たちの体の中で働いているホルモンを詳しく解説していきます。

まず、今回は全てのホルモンに共通するポイントを確認した後に、代表的なホルモンの経路の一つである、視床下部ホルモンとその下流での作用を簡単にまとめます。

全てのホルモンの共通点

私たちの体の中にあるホルモンは分泌器官の違い、組成の違い、受容体の違いなど、多種多様ですが、ある共通点があります。それは、

ホルモンは血流に乗って全身に行き渡り、そのホルモンに対応する受容体をもつ標的細胞のみに働く

ということです。ちょっと大雑把な共通点ですが、これからホルモンを勉強する上では欠かせない考え方です。

視床下部ホルモン

ホルモンが分泌され、標的器官で作用を発現するまでの流れを川に例えるなら、視床下部は上流に位置することでしょう。

私たちの体は、色々な刺激をもとにホルモンを分泌しますが、高校生物の範囲で扱うホルモンの大半は、

視床下部→下垂体前葉→内分泌腺→標的器官

の流れに沿ったホルモンが多いです。

「視床下部ホルモン」とは視床下部で産生されたホルモンの中でも、下垂体前葉ホルモンの合成や分泌を調節するホルモンの総称です。

具体的には、

  • 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)
  • 性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)
  • 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)
  • 成長ホルモン放出ホルモン(GRH)
  • ソマトスタチン
  • プロラクチン抑制ホルモン / 放出ホルモン

などがあります。

視床下部で産生された視床下部ホルモンは、視床下部と下垂体前葉をつなぐ下垂体門脈という血管で、下垂体前葉まで到達し、下垂体前葉ホルモンの分泌を調節しています。

下垂体前葉ホルモン末梢ホルモン

下垂体前葉には、視床下部ホルモンによって合成分泌の調節を受ける下垂体前葉細胞が色々あります。

またその前葉細胞から分泌されたホルモンは、内分泌器官に作用して末梢ホルモンの合成分泌を調節しています。

副腎皮質刺激ホルモンACTH

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)はCRHによって調節されています。

ACTHは副腎皮質に作用し、副腎皮質ホルモンの合成分泌の調節しています。

副腎皮質から分泌されたコルチゾールやアンドロゲンなどの作用はこちらをご参照ください。

性腺刺激ホルモン – LH / FSH

性腺刺激ホルモン(LH / FSH)はGnRHによって調節されています。

LHとFSHにはそれぞれちゃんと名称があり、LHが黄体化ホルモン、FSHが濾胞刺激ホルモンと言います。

男性の場合は精巣、女性の場合は卵巣に作用します。

男性の場合、LHは精巣にあるライディッヒ細胞(Leydig cell)に作用し、アンドロゲンの産生を促進し、FSHは精巣にあるセルトリ細胞(Sertoli cell)に作用し、精子の発育を促進します。

女性の場合、LHは卵巣にある莢膜細胞に作用し、アンドロゲンの産生を促進し、FSHは卵巣にある顆粒膜細胞に作用し、エストロゲンの産生を促進します。

甲状腺刺激ホルモン – TSH

甲状腺刺激ホルモン(TSH)の合成分泌は、TRHによって調節されています。

TSHは甲状腺の濾胞細胞に作用して、甲状腺ホルモンの合成分泌を調節しています。

甲状腺から分泌された甲状腺ホルモンは全身の基礎代謝量を上げるほか、糖・脂質・タンパク質の分解を亢進させる作用や、中枢神経系の発達を促進します。

中枢神経系の発達に関わるので、生後に行う新生児マススクリーニングで、甲状腺ホルモンが出ているのか、検査します。

成長ホルモ – GH

成長ホルモンの合成分泌は、GRHによって調節されていています。

成長ホルモンは、肝臓でインスリン様成長因子の産生を促し、骨格、筋肉、全身の組織の成長を促します。

高校の生物では取り沙汰されることは少ないですが、成長ホルモンにはタンパク質合成を促進する作用や、血糖値を上昇させる作用などもあります。

プロラクチン – PRL

プロラクチンの合成分泌は、様々な視床下部ホルモンによって調節を受けていて、正直なところ複雑で覚えるのが大変です。高校生物では覚えなる必要はないでしょう。

プロラクチンは、乳腺に作用して乳汁の分泌を促進します。

また、プロラクチンは性腺刺激ホルモンを抑える働きを持っています。

というのも、授乳期間中にまた妊娠をしてしまうと、母体への負担が大きくなってしまいます。

その為、プロラクチンが活発に分泌されている期間(=赤ちゃんに授乳している期間)は、身体が自然と妊娠しにくい状態になります。

その他のホルモン

今回は、

視床下部→下垂体前葉→内分泌腺→標的器官

の流れに沿ったホルモンを紹介しました。

もちろん、私たちの体の中には、この流れ以外にも多種多様なホルモンが存在します。

今思いつくだけでも、下垂体後葉ホルモン、副腎髄質ホルモン、膵ホルモンなどがあります。

それについては、『内分泌腺とホルモン②』で扱います。

「生物基礎 内分泌腺とホルモン① 視床下部ホルモンとその作用 まとめ」への2件のフィードバック

コメントする

CAPTCHA