【生物基礎】インスリンの分子構造・分泌まで流れ

以前の回で「【生物基礎】膵臓の構造と機能」で、膵臓の内分泌機能について少し触れました。

今回はその時に触れた『インスリン』の分子構造や分泌までの流れについて説明します。

最後には確認問題がついています。

興味のある方はぜひ最後までお付き合いください。

インスリンの分子構造

インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されるペプチドホルモンの一種です。

21アミノ酸残基のA鎖と,30アミノ酸残基のB鎖2つのジスルフィド結合(SーS結合)によって繋がっています。

インスリンは,生成される過程でc-peptide(Cペプチド)という分子が生じます。

Cペプチドは,外因性のインスリン(インスリン注射のインスリンなど)には含まれない物質なので、体内で生成されているインスリンの量を示す指標となります。

インスリンの作用

インスリンは血糖濃度を下げるホルモンです。

ホルモンの中では、唯一血糖濃度を下げる作用を持っています。

(逆に血糖濃度をあげるホルモンは幾つもありますが…)

ではどの様に血糖濃度を下げるのでしょうか?

血糖濃度が高くなると、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞からインスリンが分泌されます

分泌されたインスリンは肝臓や筋肉の細胞膜にある受容体に結合し、糖を取り込む為のチャネル『GLUT(glucose transporter)』を細胞膜上に出すよう細胞に指令します

すると、GLUTが普段以上に細胞膜上に現れ、糖が血管側と細胞側を行き来しやすい状態になります。

この時、血管側の糖濃度は細胞内の糖濃度より高い状態なので、血液側から細胞側への濃度勾配が形成されています。

その為、糖は濃度勾配に従って細胞内へ取り込まれていきます。

血中の糖が取り込まれていくと、血中の糖濃度は徐々に減少していきます。

そして最終的には、空腹時と同じぐらいの血糖濃度に戻ります

さらに、細かい部分まで掘り下げることはできますが、難しくなってしまうので、ここでは割愛します。

Wikimedia Commonsより引用

インスリノーマ

インスリノーマはインスリンが必要以上に産生され、分泌される疾患です。

上記で説明したように、インスリンは血糖濃度を下げる働きがあります。

その為、インスリノーマは、特に空腹時に血糖濃度が低くなり、低血糖発作を来します。

インスリンの分泌の流れ

概要

膵臓のβ細胞で合成されたインスリンは、『分泌小胞』という袋状の構造物によってβ細胞内に蓄えられています。

この分泌小胞がβ細胞の細胞膜と結合すると、中に入っていたインスリンが細胞外へ放り出されます。

ただ、闇雲に分泌小胞が細胞膜に結合するわけではありません。

結合するまでの、具体的な流れをこれから説明します。

具体的な流れ

(1) 膵臓のβ細胞の細胞膜には、GLUT2(β細胞の細胞膜上に常にあるグルコース・チャネル)があります。

(2) 食事をし、血糖濃度が上昇すると、濃度勾配に従って、血中の糖はGLUT2を通り膵臓のβ細胞に取り込まれます

(3) 取り込まれた糖は、その後、β細胞内で代謝されATPへと変換されます。代謝がさらに進むと、β細胞内のATP濃度は上昇していきます。

(4) 膵臓のβ細胞内のATP濃度が一定値に達すると、β細胞の膜上にあるATP感受性カリウムチャネルが閉鎖します。

(5) このATP感受性カリウムチャネルの閉鎖により、膵臓のβ細胞の膜の電位が上昇し、同じく細胞膜上にある電位依存性カルシウムチャネルを開口させます。

(6) 電位依存性カルシウムチャネルが開くと、細胞外から細胞内へカルシウムが流入し、細胞内のカルシウム濃度は一気に上昇します。

(7) そして、このカルシウムが、分泌小胞とβ細胞の膜を結合するために重要なタンパク質の働きを活性化させ、分泌小胞とβ細胞は結合します。

(8) 分泌小胞から血中へインスリンが放出されます。

このような感じです。下の図を参考にすると分かりやすいと思います。

確認問題

インスリンについて正しいものはどれか。(センター試験)

  1. インスリンは,細胞表面から分泌され,別の細胞のミトコンドリアに結 合する。
  2. インスリンは,イオンチャネルに結合し,細胞外の陽イオンを細胞内へ流入させる。
  3. インスリンは,2本のポリペプチド鎖が結合したものである。
  4. インスリンは,硫黄原子を含むアミノ酸をもたない。
解答・解説

正解:3

解説:

  1. インスリンは細胞表面の受容体に結合します。少し難しい考え方になってしまいますが,インスリンは 水溶性のペプチドホルモンです。水溶性のペプチドホルモンは脂溶性のペプチドホルモンのように細胞膜を透過することができないので,細胞膜上にある受容体に結合します。ミトコンドリアのように細胞内にある細胞小器官に直接結合することはできません。
  2. インスリンは,細胞膜上にあるチロシンキナーゼ型の受容体に結合します。インスリンがチロシンキナーゼ受容体に結合することで,受容体が活性化します。
  3. 正解です
  4. インスリンのペプチド構造はジスルフィド結合を持っているので,硫黄原子を含みます。

まとめ

以上、インスリンの作用とインスリンが分泌されるまでの流れでした。

次回は血糖濃度を調節するホルモンついてまとめていきます。

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