泣いて嫌がる妻にビンディングペダル
スコットランドへの旅行から帰ってからしばらく経った頃、家から徒歩10秒のところに英国最大の自転車屋チェーンのエヴァンス・ウィンブルドン店がオープン。
ロードバイクを中心に600台以上が展示してある大型店に毎日通って「ハーイ、ミスタースズキ、グッドモーニング」などと言われているうちに男3人の自転車はいつの間にかロードバイクになっていた。

物置の鍵を壊して侵入され盗まれる
写真もあまり残っていない
イギリスからフランス、ベルギー、オランダを回る本格的長距離家族旅行、計画では1日に100㎞以上走る日が3日ある。
できるだけペダリング効率を上げるために妻の自転車にもビンディングペダルを装着することにした(私と長男は初旅行の時から、次男は妻よりちょっと前にビンディングを使用していた)。
ビンディングペダルとは専用の靴の裏に特殊な器具(クリート)をつけて、スキーのブーツと板をガッチャンとくっつけるのと同じように、ペダルとシューズをくっつけてしまうものである。
誰でも自転車をこぐとき、片方の足が12時から6時の方向に踏み込んで力を車輪に伝えているとき、もう片方の足は、力を加えている足の回転を邪魔しないように、自然とやや浮かすようにしている。
ペダルとシューズがくっついていないと、この足を浮かす力は自転車の推進力には全く役に立たない。しかし、くっついていればこの浮かそうとする動作(引き足)は自転車の推進力に貢献して、ペダリング効率がノーマルペダルと比較して30%上昇するといわれている。

鍵はかけていたが、狙われて夜中に軽トラか何かで持っていかれる
盗人よ!自転車は盗めても、思い出までは盗めねーだろ!ざまーみろ
ビンディングペダルにはロードバイク用とマウンテンバイク用の二種類ある。ロードバイク用は速く走るために、よりペダリング効率がよくなるように作られている。
しかし、欠点は、歩くことが全く考慮されていないのと、着脱がやや難しいということである。
一方、マウンテンバイク用は、自転車走行が困難な段差のある野山の上り坂で自転車を担いで駆け上がるような場面も想定して普通の運動靴と同じように走ることもできるし、着脱もロードバイク用よりは簡単である。
ロードバイクにマウンテンバイク用のビンディングペダルをつけることは全く問題ない。
宿に着いた後にレストランに歩いて行ったりするのにロードバイク用シューズで歩けないわけではないが、傍から見てかなり異様である。
その点、マウンテンバイク用シューズは外見上普通の運動靴と変わりない。
ロードバイク用ペダルにすると外出用の靴も持っていかなければならなくなる。
なるべく荷物を減らしたい自転車旅行では減らせるものは減らしたい。
マウンテンバイク用ビンディングペダルでもロードバイク用ほどではないが、普通のペダルに比べたらペダリング効率は格段に上がるので、旅にはマウンテンバイク用ビンディングペダルが適している。
それでも、結局、妻は外出用の靴を持っていたのだが。

いきなりコケる
ビンディングペダルはペダルとシューズがくっついているので、止まるときは踵を外側にひねってペダルからシューズを外さなければならない。
慣れればどうっていうことないが、最初のうちは誰でも思いがけず停止した時に慌ててシューズをペダルから外すことができずにこけてしまうことが1度や2度はある。
通称「立ちごけ」と言い、ビンディングペダルシステムについて知らない多くの人から見れば、全く理解できない異様なこけかたで、とても滑稽でみっともない。
妻の自転車のペダルを勝手に取り替えて、無理矢理徒歩10秒の自転車屋さんに連れていってシューズを買って公園で練習をさせることにした。
妻は初めてのことを極端に怖がる性格で、「私は普通のペダルでハッピーなの!こんなの怖いからいやだ!」と本当に涙を流して拒絶した。
しかし、我が家で一番体力のない妻に少しでも効率よく走ってもらうためにも、心を鬼にして練習させた。
「きゃー!」ドテッ!いきなり転んでしまった。
笑うのをじっとこらえて「初めは誰でもそうだからくじけるな」と言って励まし、何とか慣れて着脱がスムーズにできるようになった。
「笑うのをじっとこらえて」って、確かに「クスッ」とでもしたら、そこで終わりだったでしょうね。
でも、何とか慣れて着脱がスムーズにできるようになるまで ”訓練” に付き合われた “配偶者様” は素晴らしい!